台座灸の選び方|鍼灸師が教える、どれを買う・どこに置く・どのくらいの強さで

無地の箱と台座灸、線香、よもぎの水彩イラスト 冷え・むくみ

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この記事の監修: 鍼灸師 Yun(はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 国家資格保有)
最終確認: 2026年10月30日 ・ プロフィール

「お灸を始めてみたいけれど、お店に並んでいる種類が多くて選べない」

「熱いのはこわい。どれなら安心して使えるの?」

はじめてのお灸で、まず迷うのが「どれを買えばいいか」です。

この記事では、自宅で使う台座灸(台座の上にもぐさがのったお灸)を選ぶときに見てほしい5つのポイントを、鍼灸師の視点でまとめました。特定の商品をおすすめしたり、商品どうしを比べたりする記事ではありません。パッケージを見るときの「見かた」としてお使いください。

選び方1:熱さの段階は「おだやか」から

台座灸の多くは、同じシリーズの中に熱さ(温かさ)の段階の違う商品があります。パッケージに「ソフト」「マイルド」「レギュラー」などと書かれていることが多いです。

はじめての方は、一番おだやかな段階から始めてください。慣れてきて物足りなく感じたら、そのときに次の段階を考えれば十分です。

熱さの感じ方は、同じ商品でも人によって、またからだの場所によって違います。

国民生活センターが2017年に、やけどの相談の対象になった1つの商品を調べた例では、台座のすぐ下で測った燃焼中の最高温度(4個の平均)が55.4℃だった一方、同じような台座灸の参考品3銘柄では42.8〜45.2℃でした。

その後、対象の商品のメーカーは、台座を厚くして温度が上がりすぎないように改良したと報告しています。

これは過去の1つの商品のテストで、今売られている台座灸が危ないという意味ではありません。ただ、商品によって熱さの設計に差がありうるので、はじめて使うときはパッケージの表示を確かめ、熱い・痛いと感じたら、がまんせずにすぐ外してください。

「熱いほうがよさそう」と考えて、強いものから選ぶのはやめましょう。 お灸は、熱さをがまんするものではありません。

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選び方2:煙・においが気になるかどうか

もぐさを燃やすので、多くの台座灸は煙が出て、服や部屋ににおいがつくことがあります。

  • 煙やにおいが気になる・家族と暮らしている・集合住宅で気をつかう → 煙の出ない(少ない)タイプ、においのほとんどないタイプがおすすめです
  • 煙の出るタイプを使う時は、換気のよい場所で。火災報知器が煙で鳴ることがあるので、火災報知器の近くでは使わないようにしましょう
  • 換気しやすい場所で使える・もぐさの香りが好き → ふつうのタイプでも

どちらの場合も、使うときは換気をして、火災報知器の近くなどは避けてください。

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選び方3:火を使うか、使わないか

火を使うタイプ火を使わないタイプ(貼るタイプ)
しくみもぐさに火をつけて、燃える熱で温める貼ると温かくなる
向いている方お灸らしい温かさや、もぐさの香りを感じたい方火の扱いが不安な方・外出先や仕事中に使いたい方
気をつけること火の始末・やけど・煙長い時間貼ったままにしない(低温やけどのおそれ)。使用時間は説明書のとおりに

「火を使わない=熱くない=安全」ではありません。温かさが弱く感じても、同じ場所に長く当て続けると低温やけどの原因になります。

選び方4:形・大きさ・貼りやすさ

  • 台座の大きさ:手や足首まわりなど、平らでない場所に使うなら、小さめのほうが貼りやすいことがあります
  • シール(粘着):はがれやすいと、使っている途中で落ちて危ないことがあります。肌が弱い方は、少ない数で試してから
  • 火のつけやすさ:火を使うタイプは、ライターよりも火をつけやすい「点火用の線香」を使う方法もあります(説明書の方法に従ってください)

選び方5:量は「少なめ」から

はじめから大きな箱を買う必要はありません。

  • 熱さが合うか、肌に合うかは、使ってみないと分かりません
  • 1日1〜2か所くらいなら、少ない数でもしばらく試せます

少量のもので「熱さ」と「肌の相性」を確かめてから、続けたいと思ったときに量の多いものを選ぶのがおすすめです。

どこに置く?はじめての人が置きやすいツボ

台座灸を買ったら、次に迷うのが「どこに置くか」です。はじめての方でも位置を見つけやすく、座ったまま目で見ながら置けるツボを2つ紹介します。

足三里(あしさんり)

ひざのお皿の下の外側のくぼみから、指4本分ほど下。すねの骨の前のへりのすぐ外側(指1本分ほど)にある、筋肉の上です。東洋医学では、胃腸の働きを整えるときによく使われてきたツボです。

かんたんな探し方:手の親指と人差し指を、L字に開きます。親指をひざのお皿の上のふちに当て、人差し指をすねの外側にそって下ろします。人差し指の先が当たるあたりが、足三里の目安です。

足三里の位置の図。ひざのお皿の下の外側のくぼみから指4本分ほど下、すねの骨の前のへりから外側へ指1本分ほど
足三里の位置(右脚を前から見た図)。位置は目安です。骨やすじを目じるしに、押して確かめてください。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上。すねの骨の内側の際です。東洋医学では、冷えや女性のからだのリズムを整えるときによく使われてきたツボです。

※ツボの位置には個人差があります。指の幅は自分の指で測り、押してみて「気持ちいい」と感じるところを目安にしてください。

三陰交と太渓の位置の図。三陰交は、内くるぶしの一番高いところから指4本分ほど上の、すねの骨の後ろのきわ。太渓は、内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ
三陰交と太渓の位置(右脚を内側から見た図)。位置は目安です。骨やすじを目じるしに、押して確かめてください。

刺激の強さの決め方

「どのくらいの強さがいいのか」は、熱さの段階・置く数・置いている時間の3つで決まります。強くすればよい、というものではありません。次の順番で、少しずつ自分に合うところを探してください。

いまの状態熱さの段階置く数進め方
はじめて一番おだやかなもの1か所に1個じんわり温かいと感じたら外す。熱いと感じたらすぐ外す
慣れてきたそのまま1〜2か所に1個ずつ段階は上げずに、置く場所を1つ増やす
温かさをあまり感じない日が続く1つ上の段階を試す1か所に1個からまずは温かさを感じるまで同じ場所に続けて置く(熱いと感じる前にやめる)。それでも感じにくい日が続く時に、段階を1つだけ上げる
熱い・チクチクする1つ下の段階に戻す1か所に1個がまんせず、早めに外す。その日はそこで終わりにする

熱さの感じ方は、からだの場所や、その日の体調によって変わります。昨日ちょうどよかった強さが、今日は熱く感じることもあります。毎回、その日の感じ方で決めてください。

いつ・どんなふうに使う?

  • タイミング:ゆっくり座っていられる、リラックスできる時間に。寝る前のひとときなどが向いています
  • 避けたいタイミング:入浴の直後・食事の直後・お酒を飲んだあと・汗をかいているとき
  • 回数:はじめは1日1回、1〜2か所くらいから
  • 場所:換気のできる部屋で、まわりに燃えやすいものがないところ。水を入れた灰皿などを先に用意します

どれくらいまで温める?

目安は、「じんわり温かくて気持ちいい」と感じるまでです。

  • 温かさを感じなくなったら、そっと外します
  • 熱い・チクチクする・痛いと感じたら、その時点ですぐに外します。最後まで燃やしきる必要はありません
  • 温かさを感じにくい時は、感じるまで同じ場所に続けて置いてかまいません。ただし、熱いと感じるまでは続けないでください

買ったあとに:パッケージと説明書を必ず確かめる

選んだら、使う前にパッケージと説明書の注意を読んでください。商品によって、使い方・使ってはいけない場所・使用時間が違います。

安全の基本は、どの台座灸でも同じです。

  • 熱いと感じたら、がまんせずにすぐ外す
  • 温かさを感じない時は、感じるまで同じ場所に続けて置いてもよい。ただし、熱いと感じるまでは続けない
  • 入浴の直後・汗をかいているとき・肌がぬれているときは避ける(やけどしやすくなります)
  • 火を使わないタイプも、長時間貼ったままにしない(低温やけどのおそれがあります)
  • 眠くなりそうなときはしない(お灸を置いたまま眠ってしまうと危険です)
  • 赤みや水ぶくれ、痛みが続くときは、皮膚科などの医療機関に相談しましょう

お灸を控えたい人・やめるとき

  • 妊娠中の方:自己判断で始めず、かかりつけの医師などに相談してから
  • 糖尿病の方など、足や手の感覚が鈍くなっている方:熱さに気づきにくく、やけどをしやすくなります。自己判断で使わず、医師に相談してください
  • 持病のある方・治療中の方:かかりつけの医師などに相談してから
  • 体調がすぐれないとき・熱があるとき:お灸はお休みします
  • 途中で気分が悪くなった・いつもと違うと感じた:すぐに外してやめます
  • 火を使うので:お灸をしている間はその場を離れない。眠くなりそうなときはしない。使い終わったら水で確実に消す

鍼灸師が伝えたいこと:選ぶ基準は「続けやすさ」

お灸は、一度で何かが変わるものではなく、毎日の中で「温める時間」をつくるセルフケアです。

だからこそ、選ぶ基準は「強さ」より「こわくない」「においが気にならない」「出すのが面倒でない」といった、続けやすさです。自分の暮らしに合うものを、少しずつ試してみてください。

どのツボに置けばいいかは、冷えが気になる女性へ|足のツボと温め方で紹介しています。

まとめ|台座灸は「おだやか・少なめ・続けやすい」で選ぶ

  • 熱さの段階は、一番おだやかなものから。じんわり温かいまでで、熱いと感じたらすぐ外す
  • 置く場所は、足三里や三陰交など、目で見ながら置けるツボから
  • 強さは「段階・数・時間」で決める。物足りない時は、数を重ねずに段階を1つだけ上げる
  • 煙やにおいが気になるなら、煙の少ないタイプ
  • 火を使わないタイプも、長く貼ったままにしない
  • 平らでない場所に使うなら、小さめ・はがれにくいもの
  • まずは少ない量で、熱さと肌の相性を確かめる

自分の体質の傾向を知りたい方は、体質チェックも試してみてください。


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参考にした情報

本記事は、東洋医学や鍼灸師の視点から日常のセルフケアを紹介するものです。医療行為の代替ではありません。症状が強い場合や長く続く場合は、医療機関にご相談ください。

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